~橋姫ちゃんで縁を切る~
『平等院」へ続く参道の入り口へ戻り、一本隣りの鳥居からあがた通りを進みます。
鳥居からすぐの所に『橋姫神社(はしひめじんじゃ)」がありますが、非常にこじんまりとした神社なので正直『橋姫神社』と書かれたのぼりが無ければスルーしてしまったかもしれません。
中も非常に狭い上に簡素な祠しか無く、人が居る気配が全く無い以前に人の手が加わっている感じがしないため、失礼ながらも忘れられた神社かと思ってしまった程でした。(´・ω・)
だけど余所のブログを見るとたま~に神社の人が訪れて、その時はちゃんと社務所も空いて御朱印も頂けるようです。
一見寂れたちっちゃな神社ですが、意外に色々とエピソード豊富で歴史的にもかなり重要な神社だったりします。
『橋姫神社』は646年に「宇治橋」が架けられた際に、上流の櫻谷に祀られていた瀬織津媛(せおりつひめ)を守護神として、「宇治橋」の途中に「三の間」というものを造ってそこに祀ったのが『橋姫神社』のはじまりとのことです。
おいら達の世代が学生時代に社会科の授業で「大化の改新645年」って習ったけれど、まさにそんな頃に出来た歴史ある神社なんですね。
ちなみに「宇治橋」は「瀬田の唐橋」(滋賀県)、「山崎橋」(大阪府)とならんで「日本三古橋」と言われています。
「都名所図会」によると、この「宇治橋」の写真の真ん中辺りの出っ張ってて人が数人居る所が「三の間」だった所だと思われるんだけど、さすがにこのサイズでは分からんかな。(´・ω・)
結局「宇治橋」の西詰に移された後、1870年(明治3年)の洪水で流出してしまったんだけど、1906年に現在の場所に移されて今に至るとのことです。
さてこの『橋姫神社』で祀られている瀬織津媛と同一視されているのが、神社の名前ともなっている橋姫という女性ですが、この橋姫も多くのエピソードの持ち主です。
橋姫はとある公卿の娘でしたが夫を寝取られてしまいまして、その相手の女性に対して激しい嫉妬から『貴船神社(きふねじんじゃ)』に7日間籠って「あたしを生きながら鬼神に変えてください。妬ましい女を取り殺したいのです。」と祈ります。
そこで現れた貴船大明神が橋姫に「本当に鬼になりたければ、姿を変えて21日間宇治川に浸かれ」と告げました。
都に戻った橋姫は、髪を5つに分けて5本の角に見立て、顔には朱をさし体には丹を塗って全身を赤くし、鉄輪を逆さにして頭に載せて3本の松明を刺し、更に両端を燃やした松明を口にくわえて計5つの火を灯した状態で、お告げ通りに宇治川に21日間浸った結果、望み通り生きながら鬼になってしまいました。
おいらのへたくそな説明でイメージ出来ましたかねぇ。何か社務所にその時の橋姫を「こわかわキャラ 橋姫ちゃん」としてグッズにしているそうですが見えますかねぇ? ↓
まぁ興味がある人は”橋姫ちゃん”でぐぐればもっと鮮明な画像が出てくると思いますが。
ちなみにこの時の『貴船神社』で呪いの儀式を行った様子が、あの「丑の刻参り(うしのときまいり)」のルーツになってるんですね。呪いのワラ人形に五寸釘を夜な夜な打ち込むヤツですが、あれって今の若い子も知ってるのかな~ ( ̄~ ̄?)
鬼になった橋姫は相手の女性からその親類縁者を殺すだけでは飽き足らず、しまいには一般ピーポーまで次々に殺すようになってしまいましたが、ある日「一條戻り橋」にて頼光四天王の1人渡辺綱(わたなべのつな)の名刀「髭切(ひげきり)」によって腕を切り落とされてしまい、そのまま住処の愛宕山へ逃げ去ったというお話です。
なんと!つい2日前に訪れた「一條戻り橋」について書いたブログ記事で、さらっと触れていた伝説とこんなに早くつながってしまいました!
その時の記事も貼っておきますので、興味のある方は合わせてどーぞ ↓
https://queseraseraagentholy.blogspot.com/2018/02/blog-post_87.html
今後こんな感じにエピソードでつながる記事が多々あるんだろうな。
まぁ今回の旅で実際に京都の至る所を訪れてそれぞれの位置関係をちゃんと把握出来ている状態だと、公卿の娘だから京の都に住んでいたと思われる橋姫がわざわざ都の遥か北にある『貴船神社』まで行った上に、宇治川の水に浸かるために都の南から大分離れた宇治にまで行ったり。
そこから更に都の遥か北西に位置する愛宕山に移り住んだ挙句に、堀川まで来て人を襲うというのを頻繁に繰り返していたって、ルーラでも使ってたんじゃないか?ってくらいのとんでもない移動力ですね。
もし同じ行程で旅行をしようと思ったら、相当とんでもないことになりますよ(・□・;)
まぁこんな伝説もあることから『橋姫神社』は縁切りスポットとして有名で、しかも「宇治橋」を恋人同士で渡ると嫉妬深い橋姫によって別れさせられてしまうとも言われているそうです。
『平等院』の記事の時に、「宇治橋」を渡っていった方が雰囲気が出るから京阪『宇治駅』から行った方が良いと書きましたが、仲良しカップルや仲良し夫婦はJR『宇治駅』から行った方が良さそうですね。
逆に相方から京阪で行きたいと強く言われてしまったら、要注意ってことですねw
これだけの人ですから色々な作品の題材でも取り扱われており、渡辺綱の話は「平家物語」に書かれ、
「古今和歌集」でも
さむしろに衣かたしき今宵もや我をまつらん宇治の橋姫
と読み人知らずで歌われ、
「源氏物語」の後半部分に当たる宇治を舞台とした「宇治十帖(うじじゅうじょう)」の始まりが「橋姫」というタイトルで、実際に橋姫が出てくる話というわけではありませんが、
橋姫の心をくみて高瀬さす棹のしづくに袖ぞ濡れぬる
と主人公が自らの恋心を悲恋の象徴と言える橋姫になぞらえて歌っていて、この和歌から「橋姫」というタイトルが付きました。
実際に訪れた時はただのちっぽけな神社だな程度の感想でしたが、こうやってちゃんとバックボーンを知った上で次に訪れると全然印象が変わるんでしょうね。
『橋姫神社』
参拝時間・9:00~17:00
祭神・瀬織津媛、橋姫
ご利益・縁切り
交通アクセス・
JR『宇治駅』から徒歩10分
京阪『宇治駅』から徒歩6分
HP・https://www.ujimiyage.com/user_data/kanko00_10.php
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